特集:変形性関節症

人体にはおよそ200個程度の骨が存在します。それらの骨がつながる部分を関節といいますが、 その数は骨よりも多くおよそ350カ所も存在します。私たちが好きなように動くことができるのは関節のおかげと言っても過言ではありません。

そんな関節部分に「痛み」「腫れ」そして「変形」などの症状が現れる病気を「変形性関節症」といいます。関節痛の原因として最も多い病気と言われていますので、ぜひチェックしましょう。

変形性関節症とは

変形性関節症とは関節の病気の一種です。日常生活の活動で関節に大きな負担をあたえると、軟骨が摩耗し、関節に炎症が起こります。そして、「腫れ」と「痛み」も生じます。

変形性関節症は、高齢者にとってたいへん身近な病気といえます。60歳を超えた方の場合、その8割以上に「股、肘、膝、脊椎における変形性関節症が見られる」とも言われています。変形性関節症は、年齢を重ねるごとにリスクが増加し、特に女性の患者さんが増えてくると言われていますので、ある程度の年齢に達してから関節に痛みが生じた場合には速やかに病院で診察してもらうべきといえるでしょう。

変形性関節症の症状

変形性関節症の症状は、関節症が起きている部位や進行具合によっても異なります。 ただしその初期は、一時的に痛みが生じても、安静にしていれば収まることが普通です。しかし、症状が進行すると、日常的な 何気ない動作や、安静にしていても痛みが生じます。また、夜は痛みによってなかなか寝付けない(夜間痛)の症状も見られることが少なくありません。 このほか、関節部分の曲げ伸ばしで変な音(コツコツなど)がしたり、腫れが見られるケースもあります。

変形性関節症のメカニズム・原因

変形性関節症で痛みが生じる原因は、関節部分に炎症が起きているためです。炎症の原因として考えられるのが骨と骨の間に存在する「軟骨のすり減り」で、 関節の変形にもつながるのです。先ほどご説明したように、変形性関節症は年齢とともにリスクが高まりますが、「加齢によって軟骨の弾力性が失われていくこと」は大きな原因のひとつとされています。このほか、何らかの理由で、関節へ過剰なダメージがかかる事でも、変形性関節症発症・悪化のきっかけとなります。さらには、遺伝的要因、繰り返し起きる脱臼などとの関連も指摘されています。なお、変形性関節症は、原因によって2つに分けられていますので、そちらも確認してみましょう。

「一次性関節症」は、年齢や体重増加など、複合的な要因が重なって発症するとされるグループです。原因がはっきり定まっているとは言いがたいタイプといえます。

「二次性関節症」は、ケガ・事故・病気などによって発症したケースのグループです。じん帯や半月板へのダメージほか、骨折、先天的な関節の異常もこちらのタイプです。

変形性関節症の発症場所

変形性関節症は、限られた関節(例:膝や股などには体重の負担が多くなれやすい所)にだけ起こります。関節リウマチと違って、変形性関節症は他の関節に同時に起こる病気ではありません。

膝の変形性関節症

変形性関節症の中で一番多いとされるのが膝の変形性膝関節症です。私たちは日常的に、重力の負担を感じて生きていますが、膝の関節には常に、体重の大部分の圧力がかかっています。また、ちょっとした動作でも、膝にかかる負担は大きく増加するためダメージを得やすいと考えられます。例えば、歩行によってかかる膝への負担は、ただ立っている状態と比べて3倍、 走った場合は10倍にもなります。症状の初期は、軟骨へのダメージですが、次いで半月板へのダメージも始まると「ひざ関節そのものの破壊」へとつながっていきます。炎症ほか、水が溜まるなどして、関節の変形・破壊が起きると、普通に歩くことも難しくなるでしょう。

具体的な症状は人それぞれですが「立ったり、歩いたり、階段の上り降りした時に痛みを感じる場合」「ひざ関節に腫れが確認できる場合」「ひざ関節が動かしにくい場合、」「膝の曲げ伸ばしがしにくい場合」「O脚やX脚が見られる場合」「歩くときにバランスが取りにくいなどという場合」などは、 すでに変形性膝関節症の疑いがあります。

中でも過去にスポーツなどで、骨折・靱帯損傷などをした方は、変形性膝関節症になるリスクが高いとも言われています。

股の変形性関節症

股関節に異変・変形が起きる変形性関節症です。股関節に炎症ほか、打撲や脱臼などによるダメージも発症の原因なります。こわばりや不快感などの自覚症状がない場合もありますが「足が組みにくい」「歩き方がおかしいと指摘された」などという場合には、股の変形性関節症も疑われます。

指の変形性関節症

手指の1番先の関節でおこる変形性関節症は「ヘバーデン結節」です。
一方、親指の動きに関する関節でおこる変形性関節症は「母指CM関節症」です。こちらは中年以降の女性に多く見られるようになります。手をあまり使わないことが主なケアの1つとなります。

変形性関節症の予防

変形性関節症の予防は、なんといっても「関節に負担をかけ過ぎないこと」といえます。特に、ひざ関節の変形性関節症については、男性ですと明らかに重労働者が多いとされています。もちろんスポーツ選手・アスリートの方ほか、トライアスロンやマラソンなどを趣味にされている一般の方も注意が必要でしょう。

しかし、現代ではむしろ運動不足の方が懸念されています。これは主に生活習慣病につながるためですが、運動不足も特にに「膝、股など変形性関節症」にとっては良くありません。特に、ひざ関節の変形性関節症について、女性の場合は「肥満」との関係も指摘されています。 運動不足によって、筋力が低下した結果、関節への負担が増大することになります。加えて、体脂肪の蓄積によって体重が増加することは、二重の意味で関節に負担をかけることとなり、変形性関節症につながると考えられます。

つまり「関節に負担をかけない程度の適度な運動習慣」は、変形性関節症の予防に効果的と考えられます。しかし、具体的な運動量や方法が分からない場合は、医師や専門家に相談し、アドバイスをもらいましょう。肥満気味の方は運動よりも先にダイエットを検討すべき場合もあります。

詳しくは、「関節痛の予防・治療・対策」のページをご参照ください。

変形性関節症の治療

変形性関節症に対しては、薬に加え、運動療法が検討されます。 薬で、関節の腫れや痛みを軽減しつつ、運動によって、関節周辺の筋肉を強化するといった方法です。

使用される薬は非ステロイド性の抗炎症薬で、場合によっては、痛み止めの入りのテープ・湿布も併用されます。さらに、関節にステロイドやヒアルロン酸を注入することもあります。 (ただしステロイド剤は副作用も強いので慎重な使用が必要です)また、運動は、水中歩行やストレッチなど、関節部分に 負担をかけず、筋力強化や柔軟性を得ることを目指します。 下半身の変形性関節症の治療では、日常生活で、サポーターや杖を使い、関節部分の負担軽減を目指すことも多いです。

詳しくは、「関節痛の薬」のページをご参照ください。

このように、薬と運動を中心とした治療の経過を見た上で、改善が確認できない場合(もしくは症状が悪化している場合)、あるいははじめに診断した 段階でかなり症状が進んでいる場合などには、手術が検討されます。

なお、検討される手術の例としては「関節鏡視下手術」(関節鏡を使用する術式)「骨切り術」(炎症が起きる原因となる骨を切除するなどする術式)「人工関節置換術」(人工関節に置き換えるための術式)などがあります。ちなみに、人工関節には寿命があり、1度入れると、今後入れ替えの手術が必要になります。そのため、できる限り「変形性関節症のを予防すること」を心がけた方が賢明です。

まとめ

関節の痛みを我慢することは、変形性関節症の悪化の原因になり、最終的に手術など、体力的にも辛い治療法を取らざるを得なくなります。「加齢のせいだから関節が痛くても仕方ない」とあきらめず、きちんと医師に相談してください。

関節痛の症状

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