特集:膝の痛み

膝の痛みは「股の痛み」と並び、歩行困難へとつながる可能性があります。移動が制限されるようになれば活動の制限にもつながり、QOL(人生・生活の質)を大きく低下させる危険も考えられるでしょう。症状の重さ、感じ方には個人差があり「正座が難しい」「膝を伸ばして座るのが大変」「階段の上り下りがツライ」など、多岐に渡ります。また、痛み・違和感を感じる場所も、膝のお皿周辺の特定箇所、あるいはお皿全体の表面や、あるいは内側という場合もあります。いずれも、早めに病院へいき適切な治療・ケアをはじめることが望ましいでしょう。

膝が痛くなる原因

変形性膝関節症

関節の痛みを感じる原因として、まず疑われる病気の1つです。60歳を超えた方の場合、膝をはじめ、股関節、肘、脊椎に変形性関節症を発症する確率は、ごく軽度のものも含めると8割以上に見られるとも言われています。

症状としては、痛みや関節の変形が見られますが、これは一見すると関節リウマチとも大変似ています。しかし、関節リウマチの原因が「免疫機能の異常」であるのに対して、変形性膝関節症は「加齢などによる、関節軟骨のすり減り(とそれに伴う関節周囲の炎症)」が主な原因となっています。

詳しくは、「変形性関節症」のページをご参照ください。

関節リウマチ

関節リウマチでは、変形性膝関節症と似た症状が認められます。しかし、進行具合によっては、特定の動作(立つ、足の曲げ伸ばし、階段の上り下りなど)が無くても、慢性的に痛みを感じることがあります。また、激しい痛みや、患部の腫れが見られるケースもあります。

詳しくは、「関節リウマチ」のページをご参照ください。

ほかに膝に負担がかかること

膝に痛みが生ずる原因としては、物理的に膝に負担がかかること全てといえるでしょう。 例えば、私たちが何気なく歩くだけでも、膝には自身の体重のおよそ3倍もの重みがかかっています。階段の上り下りはおよそ6倍前後という大変大きな負荷がかかっています。 ちなみにO脚、X脚の方は、膝の内側もしくは外側に圧力が集中しやすく、ひざ関節の軟骨がすり減りやすくなるとも言われています。 このように体格状の特性に加えて 、普段の生活の中で、膝に負担がかかる事は無数にあります。

膝に負担をかける要因の1つめとしては「膝の酷使」が考えられます。例えば、 中年、あるいは高齢になってからランニングを始めた方などは、早々に膝を痛めて病院を訪れるケースがあります。 走ることは、膝に大変負担をかける行為ですが、特に走り慣れていない方は、膝周りの筋肉のストレッチが不十分で、より膝を壊しやすいとも考えられます。 膝への負担は歩行時の比ではなく、なんと体重の10倍もの負担がかかります。また、特にスポーツなどを始めたわけではなくても、膝の屈伸を伴う長年の家事の負担などが蓄積し、関節炎などにつながるケースもあるようです。このほか、過去にスポーツをしていた方などは その時の怪我がもとで、将来的に膝の不調につながるケースもあります。

膝に負担をかける要因の2つ目は「体重の増加」です。「若い時に比べて結構太った」という自覚のある方で、なおかつ膝に違和感を覚える方は要注意といえます。体重増加によって膝への負担が増したことで、膝の不調へとつながっている可能性が考えられます。先ほどの例で言えば、体重がわずか1kg増えただけでも、膝にはその3倍(3kg)もの負担が増加するのです。くれぐれも、食べ過ぎや無理なダイエット(によるリバウンド)には注意しましょう。膝にとって1番最悪なのは「痩せるために走る」ということかもしれません。先ほどご紹介したように、1kgの体重増は、膝への負担を10倍(10kg)も余計にかけることになります。運動習慣そのものは良いことですが、まずはウォーキングからはじめたり、あるいはダイエットからはじめたほうが良いかもしれません。

膝に負担をかける要因の3つ目は「靴」です。人は物心ついたときから大変長い時間靴を履き続けます。したがって、足に合わない靴は膝への負担を増加させる大きな要因となるのです。 例えば、サイズの合わない靴の場合を履き続けると、足元が不安定となり、負担が膝へと集中しやすくなります。長年愛用している靴がある場合は、靴底がすり減って、体重分散がいびつになっている恐れもあるためご注意ください。

膝の関節痛による症状

膝の関節痛の症状には、個人差があります。スポーツや特定の場面だけで痛みや違和感を感じる場合もあれば、慢性的に痛みを感じる場合もあります。赤みや腫れが見られることも多く、症状の進行は、日常生活に様々な不自由をもたらすでしょう。以下、膝の関節痛による代表的な症状です。

痛み
歩くとき、階段の上り下り、立ち上がるときなど。場合によっては何もしなくても痛みがあります。
腫れ
膝に腫れが生じます。
股関節が動かしづらくなる
痛みの有無に限らず可動域が狭くなります。
歩き方の変化
左右に揺れるなど不安定で違和感のある歩き方になります。
足の変形
O脚、X脚などの変形が見られます。

膝の関節痛の予防・治療・治す方法

痛みを和らげる薬

痛みが強いケースでは、鎮痛剤(内服薬、貼り薬など)で痛みを和らげます。

詳しくは、「関節痛の薬」のページをご参照ください。

物理療法(温熱療法・寒冷療法)

膝の腫れや炎症が認められるケースでは、熱を取るため冷やします。シップほか冷えたタオルでも大丈夫ですが、 いつどのタイミングで冷やすかについては医師の指導を仰いでください。

装具療法

膝への負担を軽減できる装具を使用します。具体的にはサポーターやインソールで、 不安定な体重のかかり方を変化させ、膝への負担や痛みを軽減する効果が期待できます。

運動・スポーツ

スポーツなどによる膝の酷使は膝の痛みの原因となりますが、膝周りの筋力の衰えもまた、膝の関節に負担をかける要因となります。 いつ、どのタイミングで、どれくらいの強度で運動やスポーツを行うかについては医師や専門家の指導のもと、慎重に行う必要はありますが、下半身のトータルな筋力強化を目指すことが重要です。 これにより、バランス感覚が良くなり、膝に負担が集中することを避けることが期待できます。特定のスポーツ競技をされている方は、膝への ひろやダメージが回復しないうちに、再び運動を行ってはいけません。症状によっては、ごく軽いリハビリから始める必要がありますので、やはり医師や専門家に指示を仰いでください。

膝の関節痛について詳しく知りたい方は、「関節痛の予防・治療・対策」のページをご参照ください。

手術療法

すでにご紹介した方法で痛みなどの症状が改善されない場合、あるいは悪化抑制がかなわない場合などには、手術が検討されます。以下、膝の痛みで実施される手術の一例をご紹介致します。

関節鏡視下滑膜切除術
膝関節の炎症が起こした部分(滑膜)の切除などを行います。変形性膝関節症のケースで検討される場合があります。
半月板損傷の場合
ダメージを受けた半月板の一部を切除するなどの術式です。
人工膝関節置換術
人工股関節の置き換えは比較的有名ですが、膝関節においても実施されるケースがあります。

まとめ

膝の痛みを放置すると、膝の軟骨のすり減りが進み、さらに痛みを感じるようになります。症状の悪化は歩行困難など、日常の活動を大きく妨げる要因となりますので、早めに信頼できる病院を受診することが重要です。また、適度な運動によって膝周りの筋力増強を目指すことも重要なので、専門家のアドバイスや指導を受けて少しずつ強化していきましょう。

関節痛の症状

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