関節痛が起こりやすい部位

人体には140を超える関節が存在します。ただし、その全てにまんべんなく関節痛が起こるわけではなく、関節痛の起こりやすい部位とそうでない部位があります。症状の出る部位によっても、考えうる病名も変わってきますから、ご自分できちんと把握しておく必要があります。今回は、関節痛が起こりやすいと言われている部位を中心に、痛くなる原因や部位ごとに疑われる病名などを知っていきましょう。

下半身

膝の痛み

下半身の関節の中でも、特に体重の負担を受けやすい箇所とされるのが膝の関節です。実は平地を歩いただけでも、膝には体重の3倍もの負荷がかかると言われています。さらに階段の上り下りで体重の7倍、走ることで体重の10倍と、運動強度が増すに従って膝への負担も大きく増していきます。

膝の痛みを感じる方の中でも「高齢者、肥満気味の方、妊婦さん、O脚・X脚気味の方、過去に膝を怪我した方(あるいは膝を骨折したことのある方)」などは「変形性膝関節症」の疑いがあります。変形性ひざ関節症は、骨と骨の間で緩衝材の役目を果たしている「軟骨」がすり減り、骨同士が擦れることで痛みや変形が起こる病気です。実際に、変形性関節症の症状が最も出やすい部位が膝であると言われています。

なお、激しいスポーツをされている方で膝が痛い場合には、 変形性関節症ほか半月板損傷や打撲などの疑いなどもあります。

詳しくは、「膝の痛み」「変形性関節症」のページをご参照ください。

足指の痛み

足の指の中でも、特に「親指の付け根」が急に痛み出した場合には「痛風」が疑われます。 痛風とは、結晶化した尿酸が関節に溜まるなどして、激痛が起きる症状です。症状として一番初めに親指の付け根が痛むことが多く、適切な治療をしなければ痛みの範囲が広がったり、腎臓病へとつながるケースもあります。原因としては、暴飲暴食(特にプリン体の摂りすぎ)やストレスなどが指摘されていますので、 生活習慣の改善などで気をつける必要があります。

股の痛み

股の痛みを感じる場合には変形性股関節症が疑われます。 しかし、必ずしも痛みが出るわけではなく、なんとなくこわばり不快感を感じる程度であったり、周囲の人から「歩き方が変だよ」などと指摘されることで気づくケースも多いようです。 「股関節の脱臼や怪我の経験のある方、何らかの原因で股関節に炎症が起きたことのある方、あるいは、生まれつき股関節に障害や奇形を持っていた方」などに起こりやすいと考えられます。また、肥満気味の方は股関節に大きな負担をかけてしまうので、ご注意ください。日常生活では杖やサポーターなどを使うことで膝関節への負担を軽減することが期待できます。

詳しくは、「股の痛み」「変形性関節症」のページをご参照ください。

足・足首の痛み

足首は捻挫で痛めやすい箇所です。 道のぬかるみや窪みなどでつまずくことで、足首の靭帯を痛めてしまうのです。軽症ならば腫れ・痛み程度で済み、きちんと処置をすればすぐに治ります。 しかし、捻挫を繰り返すことでクセになることがあり、そうすると足首だけでなく足全体(の各関節)にまで影響が及ぶ可能性もあります。捻挫によって靭帯が損傷している場合は、手術を勧められるケースもあります。

なお、 足の関節はひざ関節などに比べて安定した構造となっており、変形性関節症が起きる頻度としては高くないとされています。

上半身

手指の痛み

手指の痛みで考えられる病気には「変形性関節症」「関節リウマチ」などがあります。どちらも症状が似ていますが、朝に握力が弱くなる(力が入らない)場合は関節リウマチの可能性も高いと考えられます。

また、指のどの関節に症状が出るかも病気によっても違いが生じます。
変形性関節症の場合は指の1番先の関節で起きる「ヘバーデン結節」、親指の動きに関する関節に症状が出る「母指CM関節症」などが代表的です。逆に関節リウマチは「第2関節」「第3関節」で手指の変形が起きますが、いずれも親指以外の指で起きます。

詳しくは、「関節リウマチ」「変形性関節症」のページをご参照ください。

手・手首・腕の痛み

関節リウマチは、小さな関節から全身に痛みが広がります。そして、症状のスタート場所として手・手首が多いと言われています。関節リウマチは早期治療で症状を抑えることが期待できますので、手・手首に痛みを感じたらすぐに病院で診てもらうと良いでしょう。また、軟骨のすり減りが痛みの主な原因となる変形性関節症については、その頻度はあまり高くないとされています。

詳しくは、「関節リウマチ」のページをご参照ください。

肩・首の痛み

肩は関節3つ、筋肉群などで構成され、本来は大きく動かせる部分です。しかし、スポーツや力仕事によるダメージが蓄積するなどして肩や腕が動かしずらくなります。肩の関節そのものにダメージが加わり「変形性肩関節症」になっている可能性のほか、肩関節の周辺の腱や筋肉のダメージから「肩関節周囲炎」になっている疑いもあります。この他、腱板損傷、肩関節不安定症、上腕二頭筋長頭炎、インピンジメント症候群(肩の酷使や使いすぎ)など、疑われる病名はとても多いです。いわゆる「四十肩・五十肩」ともいわれるように、加齢も大きく関係していると考えられます。

また、関節リウマチについては、手・手首から症状が始まり、次に肩・首などに症状(痛み)が広がることも多いと言われています。関節リウマチは、頸椎にも影響を及ぼし、後頭部に痛みをもたらすことが比較的多いようです。首を動かした時にごりごりと痛む場合は、関節リウマチも疑われます。

なお、首の痛みは交通事故の「むちうち」などでも生じやすいことが知られています。過去に交通事故を経験し、なおかつ首が痛い場合には事故の衝撃と痛みが関係する可能性も考えられます。

詳しくは、「関節リウマチ」「変形性関節症」のページをご参照ください。

肘の痛み

洋服の脱着、食事、スポーツなど、肘を使う場面は普段も数多くあります。動かさずに安静にすることが難しい箇所でもあるために、痛みが増大してしまうケースも多いようです。

原因としてはまず、変形性肘関節症や関節リウマチの可能性も考えられます。特に関節リウマチの場合、痛みの出やすい箇所の1つが肘です。朝、手指のこわばりを感じるような人の場合には、関節リウマチが関係している可能性があります。また、腕を酷使しがちなスポーツをしている人の場合は、特定のフォームの反復動作によって、ダメージの蓄積ほか、すでに炎症などの症状が起きているケースがあります。具体的には、おこなっているスポーツの名前に合わせて、「テニス肘」「野球ひじ(野球肩)」「ゴルフ肘」などの名称がつけられています。また、手首に多いイメージがある腱鞘炎も、ひじを動かすことで痛みが生じるケースが多いです。さらに肘の痛みの原因として少なくないのが骨折です。例えば、肘が反ったまま地面に強く手をつくなどした場合は「上腕骨顆上骨折」が起きる恐れがあります。この骨折では、肘を構成する骨(尺骨、橈骨、上腕骨)のどれかが折れており、痛みの原因となっています。

腰の痛み

腰の痛みの原因には様々なものがあります。

腰椎部の神経に障害が出ていることで痛みが出るケース、内臓の病気が関係しているケース、妊娠による体重の増加、さらにはストレスが原因の心因性腰痛症。中でも特に、年齢を重ねるごとに増えてくるのが筋肉や骨に異常が起こることで発症する腰痛です。

筋肉に何らかの障害がある場合の腰痛は「腰痛症」と呼ばれます。重いものを持ったり、腰をひねったりといった動作は日常的にあるかと思いますが、このような腰痛症を「急性腰痛症」と言います。さらに、腰痛の自覚症状が出てから3ヶ月以上続く場合は「慢性腰痛症」と呼ばれます。腰痛症は比較的中高年に多いですが、ピッチングやジャンプなど、腰に負担のかかるスポーツをしている人では、若くても腰痛症を発症するケースがあります。また、脊椎の腰の部分の5つの椎骨のいずれかにダメージがかかることでも腰痛が発生します。例えば、椎間板(脊椎間のクッション)がつぶれ、神経が圧迫されることによる「腰椎椎間板ヘルニア」。加齢による椎間板のすり減りで、腰椎が前にずれる「腰椎変性すべり症」。そしてやはり加齢が主な原因ですが、脊椎を支える筋力が弱まることで、椎間板の変性や骨棘(こっきょく)ができる「変形性脊椎症」などが、骨に問題がある場合の腰痛の代表的です。

全身の痛み

体の痛み

体中に痛みが生じる可能性がある病気としては「関節リウマチ」があります。手・指・手首などの小さな関節から症状が出て、次第に全身にまで及ぶと、骨の変形や破壊も起こってきます。このため、かつてリウマチは「寝たきりになる病気」として恐れられてきましたが、現在ではリウマチそのものの進行を止める薬(抗リウマチ薬など)が登場しています。

抗リウマチ薬の補助として、鎮痛や炎症を抑える効能のある非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)も使われています。

詳しくは、「関節痛の薬」「関節リウマチ」のページをご参照ください。

筋肉の痛み

関節リウマチ、あるいは膠原病など免疫の異常が関係する病気の1つに「リウマチ性多発筋痛症」というものがあります。この症状のひとつが筋肉の症状です。 具体的には、首、両肩、腰、おしり、大腿などにこわばり・痛みが発生します。運動(スポーツ)による疲れなど、特に思いたる原因のない筋肉の痛みが続く場合には、「リウマチ性多発筋痛症」の可能性もゼロではありません。

手足の痛み

手足の痛みは、高齢者が多く抱える悩みの1つです。 仕事や運動による長年の負荷が手足に蓄積しているということも1つの原因と考えられますが、この場合は「変形性関節症」が疑われます。しかし、痛み以外に朝起きた時に迫力が入らない(手に力が入らない)という場合には「関節リウマチ」の疑いもあります。

また、関節の痛みは「冷え」と関係することも知られます。手足は体の末端ということもあり、冷えやすい箇所です。そのため、特に冬場などに手足の血行悪化や筋肉がこわばり、関節が痛くなる方もいます。

詳しくは、「関節リウマチ」のページをご参照ください。

まとめ

関節の痛みが起こる箇所は、関節の数だけ存在すると言っても過言ではありません。しかし、負担のかかりやすい部分は、他の関節よりもトラブルが起きやすいと言えるでしょう。また、関節リウマチのように、痛みが移動したり広がる場合もありますので「ごく一部が痛いだけだから大丈夫」と甘く見るのは危険です。早めに病院で診察してもらいましょう。

どうしても我慢できない時は、無理せずに鎮痛薬の飲んで乗り越えましょう。詳しくは、「関節痛の薬」のページをご参照ください。

関節痛の症状

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