関節痛のメカニズムと原因

今回は関節痛の原因・要因となる様々な事柄をまとめました。「関節が痛いけど原因がわからない」という人はぜひご覧ください。

関節痛のメカニズム

関節は骨と骨を連結する部分を指しています。骨と骨の間には線維、軟骨、滑膜の3つの組織で繋がっています。関節や周りにあるアキレス腱(腱鞘炎)で炎症が起きると関節が痛くなります。

軟骨の損傷による炎症

骨と骨の間にある軟骨に負担をかけると、軟骨が摩耗し、滑膜組織が炎症を起こします。そして痛みを感じます。痛みを感じると、曲げ伸ばしを避けたくなり、痛みは悪化します。さらに負担をかけると軟骨が摩耗しやすくなり、いわゆる「負の循環」になります。

関節炎は様々な種類がありますが、例としては「変形性関節症」や「関節リウマチ」などがあります。

「変形性関節症」
軟骨の損傷によって痛みが生じるケースでは「変形性関節症」が代表的といえるでしょう。軟骨は、骨と骨の間でクッションのような役目を持つ部位です。骨と骨が直接ぶつかりこすれる事を防いでいますが、加齢などにより軟骨がすり減ってくると、骨同士が直接擦れ、削られていきます。これが関節を変形させ、スムーズな動きができなくなる原因となります。なお、軟骨の損傷は加齢だけでなく、肥満(体重増加)、激しい運動によるダメージなども関係します。
詳しくは、「変形性関節症」のページをご参照ください。
「関節リウマチ」や「痛風」などと、そのほか
関節リウマチでは、免疫異常が原因で、膝の関節に炎症が生じます。
痛風では、プリン体を多く含む食材(肉、魚、ビール) のとりすぎなどが原因で、血中に結晶化した尿酸値が溜まり、関節に炎症引き起こす原因となります。このほか、関節に入り込んだ細菌がもとで炎症、可能を起こす可能性関節炎も存在します。
詳しくは、「関節リウマチ」のページをご参照ください。

関節の炎症(関節炎)は単に痛みをもたらすだけでなく、関節の破壊につながるケースも多く、その場合は日常生活に様々な障害をもたらすこととなります。

関節の辺りにある炎症

腱鞘炎
腱鞘炎は、筋肉と骨を結びつけるけんを覆っているさやで起きる炎症です。炎症で腱が通りづらくなるほか、痛みが生じるため動かしにくくなります。 腱鞘炎が起きる原因としては、長時間にわたる、指の酷使が挙げられます。しかし、これだけでなく、更年期の女性、妊婦や産後の女性の場合には、ホルモンバランスの変化によって腱鞘炎を発症するケースもあります。
滑液包炎
滑液包炎(かつえきほうえん)はあまり聞きなれないかもしれませんが、やはり関節で起きる炎症を指します。滑液包は、 各組織を保護するクッションのような役目を果たす薄い袋で、中には滑液(液体)が入っています。ここに炎症が起きることで、 激痛や腫れ、熱感、赤みなどが生じます。

外傷による関節痛

 
外傷(怪我)は、関節痛の原因となります。最もわかりやすい例は捻挫です。これは関節そのものではなく、その周囲にある靭帯に過剰な力がかかることで、 痛みや腫れを発症します。ごく軽症なケースでは、将来的な影響及ぼすことはほとんどありませんが、靭帯が切れる(それに伴って手術をする)などの重症ケースでは、年齢を重ねた時に関節痛の原因となる恐れがあります。

このほか、変形性関節症が出やすい膝の場合では、打撲に伴うヒビや骨折、半月板損傷、靭帯損傷などが、後々関節炎として現れるケースがあります。 大切なことは、怪我が完治するまでしっかりと通院することです。医師の許可無しに通院をやめてはいけません。若い頃の怪我のケア不足は、年齢を重ねた時に関節痛の発症に影響する可能性があります。

関節が痛くなる要因

関節が痛くなるのは、いろいろな要因があります。例えば、インフルエンザの症状として関節痛が起こります。また、妊娠や生理、食生活や天気など、身体の状態や生活の変化のことで関節痛が起こりやすくなります。

免疫細胞の働き

関節の痛みは、一見関節とは関係のない病気が原因で発生するケースもあります。例えば、風邪で熱が出たときに関節痛となる人は少なくありませんが、そこには「免疫」の機能が働きが関係しているのです。

免疫とは、体に侵入した細菌やウイルスなどを攻撃する働きを指しますが、その際に「サイトカイン」という物質が分泌されます。一方、サイトカインの過剰分泌は、自分の体を危険にさらす恐れがあるため、それを抑制するプロスタグランジンE2(PGE2)という物質も分泌されます。実は、このプロスタグランジンE2(PGE2)が、関節痛の原因となるのです。ちなみに経験のある方はお分かりかと思いますが、インフルエンザウイルスに感染した場合は、関節痛が強く起きるケースも多いほか、筋肉痛や頭痛を伴う場合も多いです。解熱鎮痛剤の服用も考慮すべきですが、まずは早めに病院へ行くことが不可欠です。この他、ウイルス性の胃腸炎でも高熱に伴う関節痛が起きるケースはあります。

通常、上記のようなケースでは、大元である病気の治癒と共に関節痛も軽快します。関節痛の症状は辛いですが、免疫機能がきちんと働いてくれているということの裏返しでもあるため、心配しすぎる必要はないでしょう。ただし、病気が治っても関節痛が残る場合は、関節リウマチや膠原病などの「自己免疫疾患」の疑いもあります。

妊娠

 
妊婦さんは、およそ40ヵ月の妊娠生活の中でおよそ3キロ前後の胎児を育てます。 しかし、胎盤や羊水の重さもあるため、トータルでは10キロ以上体重が増えると考えられます。 どんどん大きくなる赤ちゃんをお腹だけで支えるため、重心もどんどんずれ、姿勢が悪くなります。これにより負担が股関節、膝、足首などに集中します。 また産後も、赤ちゃんを抱いてあやしたり歩く機会が増えるため、関節に負担がかかりやすい状態が続きます。なお、先程もご説明したようにホルモンバランスの変化により、腱鞘炎も起きやすくなります。

年齢

年齢を重ねること(加齢)は、関節軟骨のすり減りに深く関連します。特に更年期になると、女性ホルモンのエストロゲンが減少し、軟骨の代謝活動が異常になり、軟骨成分のコラーゲンの生成も作られにくくなります。したがって、軟骨が足りなくなり、関節に痛みを引き起こします。実際に、60歳超の方の80%には、関節症状(膝、肘、脊椎、股関節など)に症状が見られるとも言われています。

アルコール・飲酒

 
アルコールには炎症を悪化させる効果があることが知られています。例えば、関節に痛みをもたらす病気の1つである「大腿骨骨頭壊死症」(大腿骨と股関節と接する部分=骨頭に大腿動脈の血流に障害が起こり、壊死が起こる病気)では、ステロイド剤の大量使用者と共に
「アルコール(お酒)をよく飲む方」が多いとも言われているため注意が必要です。

生理

 
女性を苦しめる月経前症候群(PMS)の症状は、身体的な症状のみならず精神的な症状まで、その現れ方が多岐に渡ることが知られています。そんな月経前症候群の症状の1つに「関節痛」があります。月経前症候群は、女性ホルモンの変化が関係していると言われていますが、生理前後の女性ホルモンの働きで、子宮が膨張するような動きを見せます。これが、股関節などの痛みにつながるとも考えられます。

生活習慣

 
関節痛の大きな要因の1つと考えられることが「生活習慣」です。 つまり、関節に負担をかけるような悪い生活習慣があると、関節にダメージが与えられ続け、慢性的な痛みにつながる危険性もあります。例とすれば、姿勢の悪さ、和式の生活( 和式トイレや正座は膝に負担がかかります)、すり減った靴・ハイヒールなどの高い靴・足に合わない靴のはくこと、体の冷えなど、 生活の中の何気ない事柄が関節痛へつながる危険性があります。

このほか、ストレスや寝不足などの要因も関節痛に関わります。特に女性の場合、ストレスの原因でホルモンバランスが崩れて、軟骨成分のコラーゲンの生成が減少し、関節痛が起こります。また、寝不足で免疫力が低下し、関節痛は悪化になります。

天気

 
天気によって「昔の古傷が痛む」「体調が悪くなる」という話は有名です。実は、このような症状は「気象病」(天気痛)とも呼ばれ、医師も認めています。

さて、低気圧が近づくと天気が悪くなるなど、天気と気圧変動には深い関係があり、さらには気圧の変化が私たちの体に影響を与えています。まず、低気圧になると通常とは異なり関節の内側から外側へ圧力が強まることで、いわゆる「昔の古傷が痛む」と言う状態になります。

また、低気圧の環境下では、外部刺激に応じて痛みや炎症を引き起こす「ヒスタミン」の分泌が増えることが知られています。これによりアレルギー症状として関節の痛みがあらわれるのです。この場合、何か特別なアレルゲン(アレルギーの原因物質)が存在するわけではありませんが「気圧の変化そのもの」を体が外部刺激として捉えてしまっている可能性が指摘されています。

気候・季節

気候・季節の影響によって関節の痛みを訴える人も多くいます。一般的に多いのは、冬になって関節の痛みが悪化するケースです。

1つ目の原因としては「血行不良」が考えられます。寒さは血管を収縮させるため血行が悪くなります。老廃物が溜まりやすくなる一方、栄養や酸素の循環も滞ってしまい、筋肉に柔軟性がなくなり固くなってしまうのです。その結果、各関節への負担が増大し痛みが発生します。

2つ目の原因としては「運動不足」が考えられます。冬場は、寒さのために運動せず、インドアで過ごす人も増えます。これによって、関節の可動域が狭くなったり、血行不良をより助長する結果となり、痛みが出てきます。

スポーツ・運動不足

スポーツの負担は、膝にかかることが多いようです。屈伸、ひねり、ジャンプでの着地など、膝にかかる負担は普通のスポーツでもかなり大きくなります。この他、テニスひじ、野球ひじ(野球肩)、ゴルフひじのように、一部の関節に大きな負担がかかる競技も数多くあります。

一方、運動不足は関節周辺の筋肉が衰えると関節に負担がかかります。上半身よりも下半身(膝、股関節痛)などが、運動不足の影響受けやすいでしょう。実際に関節痛の治療では、運動療法やリハビリテーションが実施されています。また、運動不足で肥満になり、体重増加することが予想されます。体重が増えれば、やはり膝関節などにかかる負担が増大するため、関節軟骨のすり減りを助長してしまう恐れがあります。

まとめ

手指・肘・肩・膝・股などを含め、人体には140を超える関節が存在します。しかし様々な原因によって、関節部分にトラブルが起きると、痛みが生じるようになるのです。今回、関節痛の原因が特定できた方もそうで無い方も、病名の特定はまた別の話です。ぜひ、病院で適切な診断と治療を受けましょう。

関節痛の症状

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