関節痛に悩んでいる方へ

関節痛で悩んでいる方は、高齢者に多く存在します。しかし、肥満気味の方、スポーツなどで怪我をされた方、手の使い過ぎで腱鞘炎になっている方、妊娠中の方などの場合は、年齢に関らず、節々に痛みが生じています。

関節痛は原因となっている病気の種類や、進行具合によっては慢性化します。関節痛が悪化すると安静にしていても常に痛みが生じて、患者さんに大きな苦痛を与えます。同時に、日常生活や行動が制限されることで、QOL(生活の質)を大幅に低下させてしまいます。

大切なことは、関節痛の症状を正しく把握し、考えうる病気の原因やメカニズムを知っておくことです。同時に、関節痛の予防法を知り、それを実践していけば、 将来年齢を重ねて関節痛のリスクが高まったときにも大きなメリットとなります。 現在のところは関節痛がまだ軽くても甘く見ず、早期に適切なケアや治療を始めましょう。

関節痛の原因とメカニズム

関節が痛くなる原因は「外傷」「長期間の酷使による腱鞘炎や滑液包炎など」「関節の炎症(関節炎)」「軟骨の損傷」の4つに大別できます。

なお、これらが引き起こされる「要因」は数多く存在します。アルコール・飲酒、スポーツ、生活など、自分である程度気を付けることができる要因もあります。しかし、それ以外にも病気、免疫細胞の働き、年齢、妊娠などの不可抗力の要因もあります。

関連リンク:関節痛のメカニズムと原因

病気・免疫細胞の働き
人間の体は病気になると、外部から侵入してきた細菌やウイルスなどに対抗するために「サイトカイン」という物質を分泌します。すると、サイトカインの過剰な分泌を防ぐために「プロスタグランジンE2(PGE2)」という物質も分泌されます。このプロスタグランジンE2(PGE2)が関節痛の原因となります。

病気が治るにつれて、体内のサイトカインとプロスタグランジンE2(PGE2)の分泌も減少するので、関節痛も回復します。関節痛の症状は辛いものですが、免疫機能が正常に働いていることの証でもあるため、心配し過ぎる必要はありません。

年齢・妊娠
加齢による関節軟骨のすり減りは、関節痛の原因となります。特に更年期になると女性ホルモンのエストロゲンの分泌が減少するので、軟骨の代謝活動が低下してしまいます。よって、軟骨を作る成分であるコラーゲンの生成も減少し、軟骨が足りなくなって関節に痛みが生じてしまうのです。

妊婦の方は約40週の間に、子宮内で胎児を約3キロ前後にまで育てます。 しかし、胎盤や羊水の重さも加算されるので、普通はトータルで10キロ以上体重が増えます。 妊婦の方は、毎月大きくなる赤ちゃんをお腹だけで支えるために、重心も徐々にずれてしまい、姿勢も悪くなります。これにより、股関節、膝、足首などに大きな負担がかかり、関節痛が生じることがあります。

関連リンク:更年期と産後は関節痛になりやすい?その原因と対策を紹介します

関節痛の症状

関節炎の状態は「急性・慢性」と「単関節・多関節(もしくは少数関節炎)」ということの2つを軸に分類できます。また、関節痛の症状は腫れや痛みにとどまらず、発赤、熱感、こわばり、むくみ、疲れ、頭痛、下痢、吐き気、さらには不眠といった症状まで伴うことがあります。

関節痛の症状や状態を精査することで、関節痛を引き起こす病気の中から疑わしいものを特定することができます。

急性・慢性

急性関節炎は、急速に痛みなどの症状が現れる関節炎です。例えば痛風などの場合は、足の親指に痛み、発赤、腫脹、熱感などの症状が急速に現れます。

反対に、慢性関節炎の場合は、最初は軽い痛みであったものが、長い期間をかけて徐々にひどくなったり、広範囲に広がったり、頻繁に現れるようになります。「変形性関節炎」や「関節リウマチ」などは、その代表例と言えるでしょう。慢性関節炎の場合は、急性関節炎とは違い、X線で異常を発見することができます。

多関節炎・少数関節炎・単関節炎

関節痛の症状は、1度につき1カ所だけに現れるとは限りません。体中には140もの関節があり、その1か所だけが痛む場合もあれば、複数が同時に痛む場合もあります。

1カ所の関節のみが痛む場合は「単関節炎」と呼ばれます。しかし、3カ所以上の関節が同時に痛む場合は「多関節炎」と呼ばれます。関節炎は主に「単関節炎」と「多関節炎」に大別されますが、2カ所だけが痛む場合は、「少数関節炎」と呼ばれることもあります。

「急性か慢性か」「単関節か、多関節か(少数関節炎か)」の分類によって、関節痛を引き起こしている病気を推測することができます。

性質 状態 主な原因となる病気
急性 多関節炎 細菌性関節炎、ウイルス性関節炎
急性 単関節炎 痛風、偽痛風
慢性 多関節炎 関節リウマチ
慢性 単関節炎 変形性関節症、結核性関節炎、無腐性骨壊死

関連リンク:関節痛の症状

疾患別でみる関節炎

関節炎とはその名の通り、何らかの原因によって関節の部分が炎症を起こしてしまい、痛みや腫れ、変形などが生じる病気です。関節に炎症を起こしている原因によって、異なる病名が付けられています。代表的な関節炎として「関節リウマチ」「変形性関節症」「痛風」などがあります。

関節リウマチ

関節リウマチは免疫の異常が原因で発症し、上半身の小さな関節から全身の関節へと痛みや腫れが移行することがあります。

関節リウマチの患者数は女性の方が多く、男性の3倍にも上っています。中でも30歳代〜50歳代の主婦の方に多く見られます。

関節リウマチになると「寝たきりになる」と以前は信じられていましたが、現在は薬によって進行をくい止めることが可能となっています。ですから、関節リウマチは、早期発見・早期治療が大切です。

関連リンク:特集:関節リウマチ

変形性関節症

変形性関節症は肥満や加齢などが原因で、関節の軟骨がすり減ってしまうことにより、関節に痛みや腫れ、変形が起きる病気です。

変形性関節症は、発症している部位や進行具合によっても症状が異なります。通常、初期段階では一時的に痛みが生じるだけで、安静にしていれば痛みはおさまります。しかし、症状が進行するにつれて、日常の何気ない動作の際や、安静にしているときでも痛みを感じるようになります。

変形性関節症は、膝の関節に最も多く発症しやすいと言われています。膝の関節には、歩くときには体重の3倍、階段の昇降時には7倍、走るときには10倍の負荷がかかります。ですから、体重が数キロ増えただけでも、膝への負担はその何倍にも増えてしまうのです。また、60歳を超えると80%以上の方に、股、肘、膝、脊椎における変形性関節症の症状が出るという統計もあります。

関連リンク:特集:変形性関節症

痛風

痛風は、結晶化した尿酸が関節に溜まることによって、急激に痛みを感じる病気です。足の親指の付け根から症状が始まるケースが多く見られます。放置すると痛みが体中の至るところで発生する可能性があり、また、腎臓の病気や尿路結石に発展してしまう恐れもあるので、症状が出たら病院で早期治療を受けましょう。

関節炎の症状が、関節リウマチ、変形性関節症、痛風にも当てはまらない場合は「捻挫」「化膿性関節炎」「四十肩・五十肩」などの他の病気の可能性も考えられます。
詳しくは関連リンクをご参照ください。

関連リンク:疾患別でみる関節炎

関節痛が起こりやすい部位

骨と骨を結んでいる関節は、人体の中に140以上あります。その中でも特に関節痛が起こりやすい部位は「下半身では膝、足指、股、足・足首」「上半身では手指、手・手首・腕、肩・首、肘、腰」など、日常的に負担がかかりやすい関節や、大きく動かす機会の多い大きな関節です。 ただし、関節痛の原因となっている病気によっては、痛みが全身に及ぶこともあります。

症状の出る部位によっても、考えうる病名が変わってきますから、どこが痛むのかについては自分できちんと把握しておく必要があります。

関連リンク:関節痛が起こりやすい部位

膝関節
膝の痛みは股の痛みと同様、悪化すると歩行困難につながる恐れがあります。膝が痛くなる原因としては「変形性膝関節症」「関節リウマチ」「物理的に膝に負担がかかること」などが挙げられます。症状の程度や感じ方には個人差があり、「正座が難しい」と言う方、「膝を伸ばして座るのが大変」と言う方、「階段の上り下りが辛い」と感じる方など様々です。

関連リンク:特集:膝の痛み

股関節
股関節に異常が起こると、股に痛みや違和感を感じたり、足が組みにくくなったり、あぐらの姿勢がしずらくなったり、歩きにくくなったりします。股関節が痛くなる代表的な病気として「変形性股関節症」が挙げられ、その他にも「関節リウマチ」「大腿骨骨頭壊死症」「大腿骨頚部転子部骨折」などがあります。

股関節に異常が起こると自覚症状を感じる他にも、周囲から歩き方がおかしいと指摘されることがあります。その場合は悪化しないうちにすぐに病院で検査を受けることをおすすめします。

関連リンク:特集:股の痛み

指関節
指の関節に痛みを感じるだけでなく、指をまっすぐに伸ばすことができない場合は、「変形性関節症」か「関節リウマチ」のどちらかを発症している可能性があります。変形性関節症の場合は、関節の膨らみが比較的固く、その反対に関節リウマチは、関節の膨らみが比較的柔らかいと言われています。

その他にも、指の酷使による腱鞘炎も指関節の痛みを伴います。指の関節に炎症が起こると、腱が通りづらくなって動かしにくくなったり、痛みによって動かしにくくなったりします。

腱鞘炎は指の酷使だけでなく、ホルモンバランスの乱れによっても発症することが多くあります。更年期や、妊婦・産後の女性にも起こることが多いのはそのためです。

関連リンク:特集:指の痛み

肩関節
肩関節が痛む場合は、肩関節周囲炎と腱板断裂の2つのケースが考えられます。肩関節周囲炎は、50代の人に多く見られる「五十肩」と呼ばれる病気のことです。加齢によって肩関節の周囲の組織が衰えるためで、明らかな発症原因はわかっていませんが、軽度の外傷をくり返すことなどがきっかけで発症すると考えられています。発症すると、夜間や運動時などの痛みに加えて、可動域制限が起こります。

もう1つのケースである腱板断裂は、外傷が原因で起こります。腕が上がらなくなったり、激痛が走るなどの五十肩と似た症状が出ますが、五十肩は肩関節に炎症があるのに対し、腱板断裂は筋肉が破損してしまっています。肩関節に激しい痛みを感じた場合は、すぐに病院で治療を受けましょう。

関連リンク:肩関節の痛みを解消したい!痛みの原因を知って適切な治療を行いましょう

手首の関節
少し力を入れただけで手首が痛んだり、しびれたりする場合や、腫れて熱を持っている場合は、関節リウマチなどの関節痛を発症している可能性があります。

関節リウマチになると最初に関節痛が現れる場所として、手首の関節は2番目に多くなっています。病院では超音波エコーによって関節リウマチか否かの検査ができるので、手首の関節痛を感じた場合は、一度は病院で検査を受けることをおすすめします。

手首の関節痛が起こる原因として、腱鞘炎や偽痛風なども考えられます。どちらも鈍痛が続いたり、物を持つことが難しくなるなどの症状が現れます。
詳しくは関連リンクをご参照ください。

関連リンク:手首の痛みに悩んでいますか?痛みの原因を知って適切な治療を行いましょう

肘関節
加齢や肘関節の酷使などが原因で「変形性肘関節症」「テニス肘」「野球肘」などが起こりやすくなります。肘の関節痛の特徴は、肘を使っていないときには痛みを感じないことです。痛みを感じるのは重いものを持ったとき、投球をしたときなど、肘に強い負担をかけたときはもちろんですが、手を握る、ドアノブを回す、吊り革につかまる、雑巾を絞る、フライパンを使うなどの日常の動作の中でも痛みを感じることがあります。痛みを解消するためには、スポーツを控えて、手や腕をなるべく使わないようにすることが大切です。

関連リンク:肘の痛みは種類を特定して治しましょう!

関節痛の予防・治療・対策

関節痛の治療法には「薬物療法」「物理療法(温熱療法・寒冷療法)」「装具療法」「運動療法(リハビリテーション)」「手術療法」の5つがあります。

「薬物療法」では、「内服薬」「外用消炎鎮痛薬」「関節内注入薬」の3つのタイプを使い分けたり、併用したりすることで、痛みの軽減や症状の進行抑制を狙います。
「物理療法(温熱療法・寒冷療法)」では、症状に合わせて患部を温めたり、冷やしたりすることで、症状の軽減を目指します。慢性的な関節の痛みでは、患部を温めることで、関節周辺のこわばりの緩和と血行促進が期待できます。急な関節痛に対しては、患部を冷やすことで炎症を鎮め、痛みの軽減が期待できます。
「装具療法」では、杖、サポーターなどを使い、関節への負担を軽減させます。
「運動療法(リハビリテーション)」では、医師や専門家の指導のもと、関節周りの筋肉の強化や柔軟性の回復を図ります。
「手術療法」は、上記の治療に効果がなかったときに検討されます。手術療法が目指す目標は「1人で身の回りのことができたり、歩行機能が回復すること」と言えるでしょう。そのために「滑膜など炎症のもととなる箇所の切除」や「関節の機能再建」のための手術が検討されます。

また、関節痛の予防法には「サプリメント・薬」「食事」「運動・生活習慣」の3つがあります。
「サプリメント・薬」では、ビタミンB1、ビタミンB12、ビタミンEのほか、グルコサミンやコンドロイチンなどを利用すると、関節痛の予防や悪化予防に対して効果が期待できます。
「食事」では、体重増加を防ぐような、適切なカロリーの食事を摂るようにします。これにより、下半身の関節にかかる負担増を防止します。
「運動・生活習慣」では、関節周りの筋力アップにより、関節に直接かかる負担を軽減することを狙います。

関連リンク:関節痛の予防・治療・対策

関節痛を病院で治療する

関節痛はそのまま放置しておくと症状が進行したり、自己流の間違ったケアによって症状が悪化してしまう可能性があります。また、病院以外の施設で温熱療法や寒冷療法などを受けると、関節痛の種類や症状によっては、さらに悪化してしまうケースもあります。そのため、素人の判断ではなく、まずは病院で検査を受け、関節痛を引き起こしている原因を突き止めるようにしましょう。特に関節リウマチでは、病気の進行具合によって薬の効き方が異なるため、専門医の指導のもとに治療を行うことが大切です。

病院で受診する際に診療科を誤ると、最適な治療を受けられるまでに無駄な時間がかかってしまいます。その診療科で行える検査では原因がわからない場合は、他の診療科やもっと詳しい検査ができる病院を紹介されるので、時間も費用も余分にかかってしまいます。

関節、骨、筋肉などに関する病気については、整形外科で診察を受けるようにしましょう。整形外科では、変形性関節症、関節リウマチ、肩関節周囲炎、腰痛症、痛風などを専門に診察しているので、最適な治療を受けるまでの時間が最短になるでしょう。

整形外科で行われる主な治療は、薬物療法(関節内注射も含む)、リハビリ、装具療法などで、病気の状態に合わせて最適な治療が選択されます。症状によっては、関節鏡視下手術や骨切り術、滑膜切除術、人工関節置換術などの手術も受けることができます。

関連リンク:関節が痛い時は病院に行く必要はありますか?

関節痛の薬

関節痛の薬には「内服薬」「外用消炎鎮痛薬」「関節内注入薬」の3種類があります。

「内服薬」とは飲み薬のことで、サプリメント・鎮痛剤・抗炎症薬・グルコサミン硫酸塩など、様々な種類があります。市販されているものもありますが、中でも「グルコサミン」と「コンドロイチン」は、関節軟骨を構成する成分です。両者を摂取することで関節の悩みの改善・軽減が見込める点は、各国での研究でも明らかになっています。その他に、鎮痛剤も市販されていますが、これらを服用することで、全ての関節炎が回復するわけではありません。病気によっては、病院で処方される薬を服用する必要がありますので、必ずセルフケアで済ませず、病院で診断を受けてください。

「外用消炎鎮痛薬」は、外から薬効を与えるもので、湿布、軟膏、クリームなどがあります。使用される成分はサリチル酸グリコール、インドメタシン、フェルビナク、グリチルリチン酸のほか、生薬が利用されることもあります。なお「冷感」「温感」のうち、どちらの湿布を使えばいいのか迷ったら、必ず医師に相談するようにしましょう。

「関節内注入薬」は、関節痛の緩和に役立つ成分を関節に直接注射する際に使用されます。具体的には「ヒアルロン酸」と「ステロイド剤」の2つが代表的です。
ヒアルロン酸は、軟骨の増強・再生には役に立ちませんが、スムーズな関節動作をサポートします。
ステロイド剤には、強力な抗炎症・鎮痛作用が見込める反面、副作用のリスクも高いです。したがって、必要最低限の量を効果的に打つ必要がありますので、経験豊富な整形外科医に担当してもらうことが望ましいでしょう。

関連リンク:関節痛の薬

関節痛の症状

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